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二つの免許 [家族]

 ところで私は「免許」というものを二つ持っている。
運転免許証と医師免許証だ。

 自動車の運転と、人間に対する医療行為、つまり診療をしてもいいですよと、国から発行された許可証というわけだ。同じ”免許”でも大分性質が違うこれらは、一般の履歴書を書くときには「免許・資格」という欄に二つを並べて書くことになるが、なんだか妙な違和感を感じる。しかし実際には、通常私たちが書く履歴書は職場で用意されたもので、医師免許に関しては別に記す場所が設けてあり、そのような違和感を味わうことは、まずない。

 大学生の頃はアルバイト先に提出するために時々履歴書を書く機会があったが、そのときはまだ運転免許しかなかったため、数行あるスペースの一段しか埋まらず物足りなさを感じていた。学歴欄については小・中・高・大学と、さらには丁寧に書けば入学と卒業で行数を稼げるため、なんとなく見ごたえのあるものに仕上げることはできるが、免許欄だけはどうにもいかない。いっそのこと何も無ければ潔いが、一行だけというのは中途半端な感じがして仕方が無かった。大学を卒業して医師免許を手に入れてからは念願の二行目を書き込めるかに思えたが、特別の様式になってしまってついぞ願いは叶わなかった。

 さて、許可されているのは車の運転と人間の診療であって、決して車の故障を直せるわけでもなく、ましてや人間の運転などもってのほかだ。そもそも自分以外の人間に対して何かを命令したり頼みごとをすることがあまり好きなタイプではない。何かを頼んで、ひょっとすると少々嫌な顔をされるかも知れないなどと考えると、自分でやってしまったほうが楽だし、自分にできないことならば結局あきらめてしまったりもする。

 診療する患者についても同様で外科医として人間の修理には携わってきたが、運転についてはちょっと怪しいものだ。ここは左側通行だからそうしたほうがいいですよ、というようなアドバイスはできるが、どうしても右側を進みたいんだと主張する人には、「ほんとはダメなんだけど、あとは自分で判断してください」と言うまでで、捕まえて取り締まるまでのテクニックもエネルギーもない。

 それでも最近は、そんな考え方も少しは変えなければいけないなと感じている。ウチの家族は1歳半の息子に加え、9月にはもう一人増えて4人になる予定だ。とくに息子が生まれてからこの1年半、子供の成長の著しさに日々驚きを隠せない。うかうかしているとすぐに大人になってしまうに違いない。一人前になるまでなんとか飯を食わせて学校にも行かせるのは当然としても、いかに生きるかといった大仰なテーマに関して、ちょっとは尊敬されるような方向付けを示してやらないことには、父親としての面子が立たないというものである。

 家族の運転免許くらいは教習を受けてもいいから手に入れたいものだ。時にはぶつけたりエンストしてしまったりすることもあるだろうが、何とか乗りこなせるように頑張ってみようと、最近思う。妻に関しては子供に比べて排気量も多いのでさらに練習が必要かもしれない。強くぶつけてしまったりうっかりガス欠にしてしまったりすることもやや多いかもしれないがこれも止むを得ないだろう。取り消しにならなければ免停程度は我慢しよう。大したスピードは出なくても目的地にたどり着ければいい。
三つ目の免許は履歴書には書けないが。


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